市役所の会計課は、何をしている部署なのか。
私は市役所に9年いたうち、会計課にもいました。公会計での歳入歳出、予算編成、決算が担当です。
この記事では、会計課の仕事の中身と、民間の会計との違い、そしてその経験が転職でどこまで通用したかを書きます。
結論:公会計の経験は、そのままでは民間の会計経験にならない
・会計課では、日々の支払いと入金、月ごとの報告、年度末の決算、次年度の予算編成をやっていた
・予算は款・項・目という行政独自の分類で管理する
・民間の会計とは、考え方そのものが違う
・そのため「会計課にいました」は、民間では簿記ができる証明にならない
・私は結局、あとで日商簿記2級を取ることになった
会計課でやっていた仕事
日々:請求書の支払いと、入金の処理
毎日あるのが、請求書の支払い処理と入金処理です。
役所はお金の出入りが多く、支払いの相手も金額もばらばらです。それを、決められた手順とチェックを通して処理していきます。
月ごと:月額払いと、予算執行状況の報告
月単位では、月額払いの処理と、予算がどこまで使われているかの報告があります。
この報告書を作るのに、システムから出したCSVを手で転記していました。これをExcelのマクロで自動化して、年間で36時間ほど削っています。
自分から動いてよかったと思っている数少ない仕事で、あとの転職でも書けるネタになりました。
年度末:決算書の作成
年度末には決算です。
1年間の歳入歳出を締めて、決算書にまとめます。金額が合わないと先に進めないので、正確性がとにかく求められます。
年に一度:次年度の予算編成
そしてもうひとつ大きいのが、次年度の予算編成です。
各事業の担当者と打ち合わせをして、新しい事業のヒアリングをして、要求された内容を確認していきます。細かい調整が延々と続く時期です。
兼務していた総務・財務の仕事
なお、私はどの部署でも総務と財務を兼務していました。備品の台帳管理、毎月の棚卸、職員の勤怠管理です。
地味ですが、9年間ずっとやっていた仕事でもあります。

公会計と民間の会計は、どこが違うのか
ここからは、一般的な仕組みの説明です。細かい扱いは自治体によって違うので、自分の職場の規程で確認してください。
予算がすべての起点になる
民間の会計が「使った結果」を記録するのに対して、行政は先に議会で議決された予算があるところから始まります。
予算は、款・項・目・節という分類で組まれています。このうち款と項は議会が議決する科目で、目と節は執行のための科目です。
だから「予算がないからできない」が、行政では文字どおりの意味になります。款や項をまたいでお金を動かすには、原則として議会の手続きが必要だからです。
現金主義・単式簿記が基本
役所の歳入歳出は、お金が実際に動いたときに記録する現金主義で、単式簿記が基本です。
民間の企業会計は、発生主義で複式簿記です。売上や費用は、お金が動いた時点ではなく、取引が発生した時点で計上します。減価償却や引当金といった考え方も、企業会計のものです。
同じ「会計」という言葉でも、前提が違います。
近年は、財務書類を作る自治体も増えている
補足しておくと、近年は統一的な基準にもとづいて、貸借対照表や行政コスト計算書などの財務書類を作成する自治体が増えています。
ただ、日々の実務は従来どおりの官庁会計で回っているのが実情です。
出納整理期間がある
行政には、出納整理期間というものがあります。年度が終わったあと、4月1日から5月31日までのあいだに前年度の出納を整理する期間です。
民間にはない仕組みなので、転職して最初に「ない」ことに気づく部分かもしれません。
「売上」がない
役所の歳入は、税や交付金、使用料などです。売上ではありません。
利益を出すための会計ではなく、予算どおりに、適正に執行されたかを確かめるための会計です。ここが根本的な違いだと思っています。

会計課の経験は、転職で通用したか
そのままでは、通用しなかった
9年のうち会計をやっていても、民間では「簿記ができる人」にはなりません。
「会計課にいました」と書いても、採用する側からすれば、簿記ができることの証明にはならないからです。
これを埋めるために、私はあとで日商簿記2級を取りました。その話は元公務員が転職のために簿記2級を取った話に書いています。
数字にできるものは、武器になる
一方で、そのまま使えた部分もあります。
Excelのマクロで年36時間を削ったこと。備品台帳や棚卸、請求・支払いの事務処理を回していたこと。
いまの会社の通販部門は、受注や請求の事務処理が大量に発生する部署です。だから応募のときは、Webの経験と並べて、市役所での財務・事務処理の経験を前に出しました。
書き方は公務員の職務経歴書に「書くことがない」と思ったときにやったことにまとめています。
事務職の求人には、学歴の壁もあった
ついでに書いておくと、事務系の求人には別の壁もありました。総務・人事・経理で年収400〜500万円くらいの求人では、学歴で弾かれています。
その話は高卒の転職で学歴フィルターに当たった話に書きました。
いま会計課にいる人へ
・公会計の知識そのものは、民間ではそのまま使えないと考えておく
・ただし、期限と正確性が求められる中で処理を回した経験は残る
・民間に出るつもりがあるなら、簿記のように「民間の言葉」に翻訳できる資格を先に取る
・職務経歴書では、金額・件数・削減した時間など、数字にできるものを探す
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29歳までです。
※いずれも無料です。私自身はこれらを利用していません(私が使ったのはリクルートエージェントです)。条件で選べるように並べています。登録しても、必ず転職しなければいけないわけではありません。
まとめ
・会計課の仕事は、日々の支払いと入金、月ごとの報告、年度末の決算、次年度の予算編成
・予算は款・項・目・節で管理し、款と項は議会の議決科目
・官庁会計は現金主義・単式簿記。民間の発生主義・複式簿記とは前提が違う
・出納整理期間(4月1日〜5月31日)のように、民間にはない仕組みもある
・「会計課にいました」は民間では証明にならないので、簿記2級を取った
・数字にできる実績(年36時間の削減など)は、そのまま職務経歴書に書けた

