公務員から転職するとき、資格は要るのか。
私は市役所を辞めたあと、Webコンサル会社で働きながら日商簿記2級を取って、その数ヶ月後に転職しました。いまは地方の食品会社の通販部門にいます。
先に書いておくと、簿記の知識そのものは、いまの仕事で使っていません。それでも、取ってよかったと思っています。
なぜ簿記だったのか、働きながらどう勉強したのか、面接でどう効いたのかを書きます。
市役所で会計をやっていたのに、簿記を取った理由
市役所では会計課にもいて、公会計での歳入歳出を扱っていました。
日々の請求書払いと入金処理。月ごとの予算執行状況の報告。年度末の決算書作成。次年度の予算編成。
数字を扱う仕事です。だから、会計は分かっているつもりでした。
でも、公会計と民間の会計は、別物です。
行政は、款・項・目という分類で予算を管理します。年度で予算を使い切ることが前提で、利益という概念がありません。
仕訳も、財務諸表も、民間のものとは形が違います。
つまり、9年会計をやっていても、民間では「簿記ができる人」にはならないということです。
これは、公務員からの転職で見落とされやすいところだと思います。
転職活動を2つの軸でやっていた
転職活動を始めるとき、私は2つの方向で探していました。
一つは、情報システムやWeb・IT系の知識を活かす方向。
もう一つが、事務系・経理系の方向です。
Web・IT系は、実務経験がありました。サイトを何件担当した、広告をどう回した、アクセス解析をどう使った。これはそのままアピールになります。
問題は、もう一つの軸でした。
会計課にいたのに、証明するものがなかった
市役所で会計課にいたので、事務系・経理系の知識はありました。
でも、先に書いた通り行政会計と一般会計は仕組みが違います。
「会計課にいました」と書いても、民間の採用側からすれば、簿記ができることの証明にはなりません。
武器として使えるはずの経験が、証明できない。
これを埋めるために選んだのが、日商簿記2級でした。
つまり、知識がなかったから取ったのではありません。あると言える状態にするために取りました。
結果から言うと、簿記の知識は使っていない
先に書いておきます。
最終的に決まったのはWeb・IT側の軸でした。いまの仕事は通販部門で、経理ではありません。
その意味では、簿記2級を取った当初の目的は達成されていません。
それでも、取ってよかったと思っています。理由は後半に書きます。
働きながら取るということ
当時は、Webコンサル会社にいました。
タイムカードは18時に切りますが、実際には連日24時過ぎまで働いていました。持ち帰りの仕事もあります。
その状態で、資格の勉強をしていました。
正直に書くと、勉強そのものより、時間を作ることのほうがしんどかったです。
時間は「早朝」「昼休み」「寝る前」で作った
結論から書くと、まとまった時間は最後まで取れませんでした。
やったのは、この3つです。
1時間早起きする
朝は頭が動くので、新しい単元を進めるのはここでやりました。
昼休みに、ご飯を食べながらやる
車通勤なので、移動時間は勉強に使えません。日中に使えるのはここだけでした。
寝る前に、覚えたいことを集中的にやる
寝る直前に入れたものは残りやすい感覚があったので、暗記系はここに寄せました。
平日の夜は当てにしていません。24時過ぎに帰ってから机に向かうのは、続きませんでした。

暗記は「まとめて」ではなく「細切れで、何度も」
やり方で、ひとつだけ決めていたことがあります。
暗記系は、まとめて詰め込まない。細切れで詰め込んで、アウトプットの回数を増やす。
1回に長くやるより、短くても回数を増やしたほうが頭に残る。これは、実際にやってみての実感です。
早朝・昼・寝る前という分け方も、この方針から来ています。1日1回まとめてやるのではなく、1日3回触る形にしたかった。
教材は市販の教本を使いました。オンライン講座は使っていません。
期間は4ヶ月
お盆休みに始めて、12月中旬に取得しました。約4ヶ月です。
お盆休みから始めたのは、まとまった時間があるうちに全体像をつかんでおきたかったからです。入り口だけは、細切れだとつらい。
逆に言えば、入り口さえ抜ければ、あとは細切れで進められます。
資格を取って、すぐに転職した
時系列を書くと、こうなります。
ビジネス会計検定3級を取った翌月に、日商簿記2級を取得。その数ヶ月後に、いまの会社に入社しています。
並べてみると分かりやすいと思いますが、2ヶ月で資格を2つ取って、そのまま動いています。
これは、日付を並べるだけで伝わることがあります。

資格で見られているのは、知識だけではない
これは、取ってみて思ったことです。
簿記2級を持っているからといって、実務ができるわけではありません。採用する側も、それは分かっています。
それでも評価されるのは、働きながら準備したという事実のほうだと思います。
公務員からの転職でも、同じことが言えます。
採用側が一番不安に思っているのは、「言われたことしかやらないのではないか」です。自分の意思で何かを取りに行った記録は、そこに直接答えます。
実際、面接では役に立ちました。
ただし、簿記の知識そのものを問われたわけではありません。評価されたのは、資格を取った努力そのものでした。
連日24時過ぎまで働く会社にいながら、4ヶ月かけて取っている。この事実が、そのまま伝わったのだと思います。
知識は入ってから覚えられます。でも、忙しい中で何かを取りに行く人かどうかは、入ってからでは分かりません。採用する側が見ているのは、たぶんそこです。
いま、実務で使っているか
いまの仕事は通販部門で、自社ECと各モールの運営です。
経理部門ではありません。でも、受注と請求、原価と利益、手数料。このあたりは日常的に出てきます。
モールの手数料と広告費を引いて、結局いくら残るのか。キャンペーンで値引いたとき、どこまで下げていいのか。
売上ではなく利益で考える習慣は、公会計だけやっていた頃にはなかったものです。
これから取る人へ
資格は、学歴や経験の不足を埋める魔法ではありません。
ただ、今の仕事とは別に手を動かした証拠としては、かなり分かりやすいと思います。
とくに公務員からの転職では、「安定の中で何もしてこなかった人」と見られないための材料になります。
一つだけ注意点を書くなら、取ること自体を目的にしないことです。
行きたい先が先にあって、そこで使うものを取る。順番が逆になると、取っただけで何も変わらなかった、ということになります。
資格を取る前に、いまの経歴でどこまで評価されるのかを先に知っておきたい人向けに、条件で選べるサービスを並べておきます。
- 年齢制限なし
- 全国
- 登録のみ・面談なし
エージェントではなく、登録すると想定年収と適性診断が出るサービスです。担当者から電話がかかってくる形式ではないので、まだ動くと決めていない段階でも使えます。
年齢も地域も学歴も条件がないので、30代でも地方在住でも試せます。
- 18〜28歳
- 全国対応・オンライン面談可
- 高卒・中退・既卒OK
名前のとおり第二新卒向けですが、高卒・中退を対象だと明記している数少ないサービスです。オンライン面談で完結するので、地方に住んだままでも使えます。ただし29歳以上は対象外です。
- 18〜29歳
- 全国対応
- 高卒以上
名前は第二新卒向けですが、在職中の転職希望者も対象です。最終学歴が高卒以上であれば使えます。地域の指定がないので、地方に住んだままで問題ありません。
29歳までです。
※いずれも無料です。私自身はこれらを利用していません(私が使ったのはリクルートエージェントです)。条件で選べるように並べています。登録しても、必ず転職しなければいけないわけではありません。

