地方にWebの仕事はあるのか。
結論から書くと、あります。ただし、探し方が違います。
私は地方都市に住んだまま、Webコンサル会社と、事業会社の通販部門の2つを経験しました。実際の年収も含めて書きます。
地方のWeb系の仕事は、3種類ある
1. 地元のWeb制作会社・広告代理店
どの地方都市にも、地元企業のサイトを作っている会社はあります。
規模は小さめです。制作だけでなく、印刷物や看板、イベントも一緒にやっていることも多い。
未経験からの入り口としては、一番現実的です。私もここから入りました。
2. 事業会社の中のWeb担当
メーカー、小売、サービス業。自社のサイトやECを回す人が必要な会社です。
ここが、一番見つけにくいけれど、一番数があると思っています。理由はあとで書きます。
3. リモートで首都圏の仕事
住む場所を変えずに、働く先だけ外に出すやり方です。
給与水準は一番高くなります。ただし、完全未経験からはかなり厳しい。この話は別の記事に書いています。
地元のWeb制作会社は、こういう場所だった
私が最初に入ったのが、ここです。もう少し具体的に書きます。
社員は15人ほど。地方のWeb制作会社としては、小さすぎるわけでもない規模だと思います。
客層は、県内であれば業種を問いませんでした。行政、学校、地元の中小企業、飲食店、病院、士業、それに農家。「Webの会社」というより「県内の困りごとを引き受ける会社」に近い感覚です。
1サイトあたりの受注金額は、100万円前後が中心でした。
そして、私がやっていたのは制作だけではありません。営業と、Web広告の運用も担当していました。
ここが地方の制作会社の特徴だと思います。人数が少ないので、役割が分かれていない。取ってきた人がそのまま回す。だから「デザインだけやりたい」「コーディングだけやりたい」という人には、たぶん合いません。
逆に言えば、営業から運用まで一通り経験できます。私が次の転職で評価されたのは、この「一通り」の部分でした。
事業会社のWeb担当は、こういう場所だった
いま働いている方です。
通販部門は3人。そのうち、実際にWebを触るのは2人です。会社の中に、Webが分かる人が2人しかいないということでもあります。
ただ、上司はWebが分かる人です。これは地方の事業会社としては、かなり恵まれている方だと思います。
「言っても伝わらない」がないので、話が早い。広告の予算も、ページの作り替えも、上長の許可が下りれば動かせます。自分で提案して、自分で決められる範囲は広いです。
その代わり、2人しかいないので全部自分でやります。分業はありません。
制作会社と事業会社、どちらが良いという話ではないと思っています。ただ、「作って納める」のか「作ったものを育てる」のかで、日々の中身はかなり変わります。この違いは別の記事に詳しく書きました。
年収の実際
自分の数字を出します。
地元のWebコンサル会社に入ったときが300万円。その後、地元の食品会社の通販部門に移って350万円です。
高い額ではありません。同じ仕事を首都圏でやっていれば、もう少し上だと思います。
これは、地方の相場に引っ張られるということです。スキルでどうにかなる部分と、ならない部分があります。
ただし、前提をひとつ書いておきます。
私は未経験からのスタートです。公務員からWeb業界に入って、まだ3年と少し。この数字を「地方のWeb職の相場」として読まないでください。

「求人がない」のではなく「見つけにくい」
ここが、この記事で一番書きたいことです。
転職サイトで「Webマーケター」「Webディレクター」で検索すると、地方ではほとんど出てこないと思います。
実際に、何件出たのか
私が使っていたのは、リクナビNEXT、doda、Indeed、地元のハローワーク、それとリクルートエージェントです。
活動していた時期に、地元で「Webマーケター」で検索して出てきたのは3社ほど。「通販」「EC」で検索したときは2社でした。
つまり、言葉を変えたところで、絶対数はどちらも数社です。「この探し方をすれば求人が何十件も見つかる」という話ではありません。
ではなぜ探し方の話をするかというと、数が少ないからこそ、1件も取りこぼせないからです。
首都圏なら、検索結果が100件出てくるので、タイトルで絞って構いません。地方は数社しか出てこない。だったら、全部開いて、業務内容の欄まで読んだほうが早い。
でも、仕事自体は存在しています。職種名が違うだけです。
私がいまやっているのは、自社ECと楽天市場、Amazon、Yahoo!ショッピングの運営。Web広告の運用。アクセス解析。商品ページの改善。
中身はどう見てもWebマーケティングです。
でも、この仕事の求人が使っていた言葉は、「通販」「マーケティング本部」「営業事務」でした。
地方で探すなら、検索する言葉を変えてください。
通販、EC、ネットショップ、販売促進、広報、営業事務。このあたりの求人票を開いて、業務内容の欄にサイトやSNS、広告という言葉が入っていないかを見る。
私が入った会社の求人も、この読み方をしなければ通り過ぎていました。

地方でWebをやる、しんどい部分
良い話ばかりでは嘘になるので、きつかったところも書きます。
制作会社は、新規が取れない
これが一番大きかったです。
Webサイトは、一度作ってしまえば、あとはメンテナンスが中心になります。毎年新しく作り直す会社はありません。
しかも今は、「SNSがあれば十分」と考える会社や個人事業主がかなり多い。サイトは簡易的なもので構わない、という人もいます。
結果として、こうなります。
新規が取れない → 売上が伸びない → 給料も賞与も上がらない。
個人の頑張りでどうにかなる部分と、市場の側で決まっている部分があります。地方の制作会社は、後者の影響をかなり受けると思います。
社内に、聞ける人がいない
私がいた会社は、聞かれたことしか教えてくれない環境でした。
「それくらい調べて」「自分で考えて」と言う人が多く、正直、相談しにくかったです。
技術の話ができる相手が社内にいないというのは、思っていたよりこたえます。自分のやり方が正しいのかどうか、確かめる手段がない。
外の情報が入ってこない
勉強会やコミュニティには参加していませんでした。地方だと、そもそも数が少ないです。
だから新しい情報は、個人的にSNSで拾っていました。それ以外の入り口がなかった、というのが正確なところです。
この先どこまで行けるのか、と思ったことはある
あります。というより、はっきり思いました。
売上が上がらない、相談できる人がいない、情報も自力で取るしかない。この状態のまま続けていくのは難しい、と。
これは会社が悪いという話ではなく、地方の制作会社という業態が抱えている構造の話だと思っています。
地方だからこそ、Webは強い
不利な話を書いたので、逆も書いておきます。
地方では、Webが分かる人が極端に少ないです。
WordPressを触れる。アクセス解析を見られる。広告を回せる。この程度でも、地元企業からすれば十分に珍しい。
首都圏では埋もれるスキルが、地方だと先頭になる。この逆転は実際に起きます。
だから、地方でスキルを付けるなら、地元の求人にあるものではなく、地元にないものを選ぶのが良いと思います。
地方で年収を上げる方法は、たぶん3つしかない
ここまで書いた上で、じゃあどうするのか、という話です。
私が思いつく限り、方法は3つです。
1. 副業をする
一番現実的だと思っています。地方の相場は変えられませんが、本業の外に足すのは自分で決められます。
2. リモートで他県の会社に移る
住む場所を変えずに、給与水準だけ外に出すやり方です。ただし未経験からは厳しく、実務経験を積んだあとの選択肢になります。
3. 社内評価を上げる
正直に書くと、上がったところで高が知れています。地方の給与テーブルの中で動くだけなので、変えられる幅が小さい。
私は1を選びました。
本業は350万円のままです。そこに副業で約240万円を足しています。本業の額面を上げることをあきらめて、稼ぎ方の数を増やしたということです。
ただし、これには前提があります。早く帰れる会社であること。前職のように連日24時まで働いていたら、副業をやる時間はありません。
「年収が上がる会社に行く」ではなく「時間が残る会社に行って、その時間を使う」。地方だと、こちらのほうが現実的だと思っています。
これから地方でWebを目指す人へ
順番としては、こうだと思っています。
1. 自分で何か一つ作る
ブログでも、知人の店のサイトでも構いません。地方の未経験採用では、これがあるだけでかなり違います。
2. まずは地元の制作会社か、事業会社のWeb担当
年収は相場なりですが、実務が積めます。
3. 実務ができてから、外を見る
リモートも、首都圏も、この段階で初めて現実的な選択肢になります。
私はいま、2までしか来ていません。それでも、市役所にいた頃とは違う場所にいます。
Web・マーケ職を専門に扱っているエージェント
ここまで書いたとおり、地方は求人の絶対数が少ないです。
だからこそ、職種を分かっている相手に探してもらうほうが取りこぼしが減ります。「通販」「営業事務」の求人票の中にWebの仕事が埋まっている、という話が通じる相手かどうかです。
- 年齢制限なし
- 全国から申込可
- マーケ・クリエイティブ職特化
広告・マーケティング・クリエイティブ職を専門に扱っている人材紹介です。拠点は東京・大阪・名古屋・福岡。職種を理解している相手のほうが話が早いので、Web・マーケ系で動くならここは見ておいて損はないと思います。ただし未経験からの入り口としては向きません。
※いずれも無料です。私自身はこれらを利用していません(私が使ったのはリクルートエージェントです)。条件で選べるように並べています。登録しても、必ず転職しなければいけないわけではありません。

