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高卒で地方都市の市役所に9年勤めて辞めた話

市役所の庁舎の前で道が二手に分かれ、分岐点に一人の人物が立っているイラスト 公務員を辞める
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「公務員 辞めたい」で検索してここに辿り着いたなら、たぶんいま、辞めるかどうかで止まっているんだと思います。

私は高卒で地方都市の市役所に入り、9年勤めて辞めました。

先に言っておくと、この記事は「公務員を辞めよう」と背中を押すためのものではありません。むしろ逆で、辞めたあとに分かった公務員の強さも書きます。

結論:私は辞めたが、辞めることを勧める記事ではない

先に結論を書きます。

私は市役所を辞めて、いまのところ後悔はしていません。

ただし、順風満帆ではなかったです。転職活動では50社以上から不採用をもらいました。年収は350万円から300万円に下がりました。そして、最初の転職先はいわゆるブラック企業でした。

そこで3年働いてからもう一度転職して、いまは地方の食品会社で通販とマーケティングをやっています。本業の年収は350万円。市役所を辞める前と、額面はほぼ同じです。

これを見て「なんだ、意味がなかったのか」と思う人もいると思います。そこは別の記事で詳しく書きます。

その上で言いますが、私は「公務員は辞めたほうがいい」とは思っていません。

公務員の安定性は、辞めたあとのほうがはるかによく分かりました。

高卒で市役所に入った9年間

工業系の高校を出て、そのまま市役所に入りました。

9年間で、情報システム課、市民課、会計課を経験しています。どの部署でも総務と財務を兼務していました。

情報システム課では、OSのサポート終了にともなう数千台規模のパソコン入れ替えで、チームリーダーを任されました。会計課では公会計での予算編成と決算をやりました。

先に書いておきますが、ひどい職場だったわけではありません。いじめられていたわけでもないし、長時間労働で壊れたわけでもない。

それでも辞めました。理由を順に書いていきます。

決裁欄の並んだ書類が重なり、その横に判子と朱肉が置かれているイラスト

辞めたいと思い始めた理由

意思決定の遅さと、承認フローの煩雑さ

何かを変えようと思ったとき、それが決まるまでにとにかく時間がかかります。

判断する人が多いこと、前例がないと進まないこと、書類を揃えること自体に工数がかかること。これらは行政の仕組み上、ある意味当然です。公金を使う以上、チェックが多重になるのは正しいとも思います。

ただ、自分がやりたいと思ったことが形になるまでの距離は、正直遠いです。

ブログをやっていたことも影響しています。自分で決めて、その日のうちに実行して、数字で結果が返ってくる。そのスピードを知ってしまったあとだと、どうしても比べてしまいました。

職場内の政治

どこの組織にもあるものだとは思います。

ただ、成果ではなく年数と関係性で物事が決まる場面を見ると、この先の20年30年を想像して気が重くなることがありました。

「仕事をしていない」と言われる側にいること

これは、市民課の窓口にいたときに一番感じました。

公務員は、世間からの目が厳しい仕事です。クレームも多い。税金で食べているのに仕事をしていない、という言い方をされることもあります。

1回なら流せます。でも、これが日常になると、じわじわ削られていきます。

自分の仕事に対して、正当な評価をもらえている実感が持ちにくい。これは公務員という仕事の、かなりしんどい部分だと思っています。

副業ができないこと

決定的だったのは、これです。

市役所で働きながら、独学でWebとブログをやっていました。安定して月5万円くらい、いちばん良かった月で50万円ほどの収益になりました。

金額よりも、「給料以外でも稼げる」と知ってしまったことが大きかったです。

公務員は副業に制約があります。収入は給料表で決まっていて、自分の努力で増やすという選択肢が、制度上とりにくい。

稼げると分かったあとで、それをやめておく。この矛盾が、年を追うごとに大きくなっていきました。

片方に家、もう片方に旅行鞄を載せて釣り合っている天秤のイラスト

それでも9年迷った理由

上に書いたことは、入庁して数年ではもう感じていました。それでも9年いました。

ここが、いま読んでいる人に一番近い部分だと思います。

公務員の安定性は、本当に強い

毎月決まった日に給料が入る。賞与が出る。大きな問題を起こさなければ職を失わない。福利厚生も比較的充実している。ローンも通りやすい。

これを手放すというのは、実際にはかなり重い決断です。

しかも公務員は、一度辞めると戻れません。経験者採用の枠はありますが、同じ条件で戻れる保証はどこにもない。

「高卒だから民間では通用しない」という思い込み

これは大きかったです。

大卒でない自分が、公務員という肩書きを外したときに何が残るのか。考えると手が止まりました。

結論から言うと、この思い込みは半分当たっていて、半分外れていました。確かに良い面ではなく作用しましたが、最終的には学歴とは別のところで決まりました。ここは別の記事に書きます。

辞める前にやっておいてよかったこと

ひとつだけです。

在職中に、転職したい業界のことを独学していたことです。

ブログ運営、WordPress、HTMLとCSS、アクセス解析、Webマーケティング、広告。市役所の仕事とは直接関係のないことばかりです。

結果として、転職活動で武器になったのはこちらでした。

公務員から異業種に行く場合、企業が見ているのは「公務員として何をしてきたか」だけではありません。「その業界のために何を準備してきたか」です。

逆に言うと、これをやっていなかったら、私はどこにも入れなかったと思います。

公務員を辞めて失うもの

ここは美化せずに書きます。

まず、安定です。民間企業には倒産もリストラもあります。実際、私が最初に入った会社は売上が年々下がっていて、最後は賞与が出ませんでした。

次に、収入の予測しやすさ。公務員は何年後にいくらもらっているかがだいたい分かります。民間はそうではない。

そして、未経験転職では年収が下がる可能性があります。私は実際に50万円下がりました。

社会的信用も変わります。公務員という肩書きは、自分が思っているより強いです。

最後に、民間では成果を求められます。これは良い悪いではなく、単純にルールが違います。

それでも私が辞めた理由

失うものを分かっていて、それでも辞めました。

最後に残ったのは、「このまま定年まで同じ環境で働き続けるのか」という問いだけでした。

Webの仕事を知ってしまっていたこと。自分のスキルを伸ばして仕事をするというやり方に興味が出てしまっていたこと。この2つが、最後に背中を押しました。

積み重なっていた3つのこと

決定的な一日があったわけではありません。積み重なったものが、あるとき限界を超えた、という感覚に近いです。

一つ目は、窓口での対応です。理不尽な要求を繰り返す方への対応が続くと、こちらの気力は確実に削られます。丁寧に対応するほど疲れるという構造から、抜けられません。

二つ目は、意思決定の遅さと決まりごとの多さです。これは前に書いた通りです。

三つ目が、いちばん大きかったと思います。

収益が増えるほど、怖くなっていった

副業は、おおっぴらにはできません。だから、ブログの収益はこっそり積み上がっていくものでした。

最初は「小遣いが増えた」程度の話です。ところが、金額が伸びていくにつれて、気持ちが変わってきました。

嬉しいはずなのに、びくびくするようになったんです。

これが知られたらどうなるのか。9年積み上げてきたものは、これでどうなるのか。金額が増えるほど、その不安も大きくなりました。

自分が真面目にやってきたことで、自分の首が絞まっていく。この感覚は、かなりきついものでした。

稼げるようになったから辞めた、という話ではありません。隠しながら稼ぐことに耐えられなくなった、というのが正確なところです。

副業ができる環境に行く。これが、最後に残った理由でした。

この副業が実際にどういうものだったか、制度上どういう状態だったかは公務員がブログの副業で月50万。そのあと怖くなって辞めた話に、隠さずに書きました。

早朝の通勤路で、同じ方向へ歩く人々の中に一人だけ立ち止まっている人物のイラスト

辞める人へ、残る人へ

この記事で一番伝えたいのは、ここです。

「辞めたい」だけで辞めないほうがいいです。

仕事が嫌だからという理由だけでいきなり退職するのは、私は勧めません。公務員は一度辞めると戻れない仕事だからです。

先にやることがあります。

行きたい業界を決める。必要なスキルを調べる。勉強する。資格を取る。作ったものを形に残す。転職サイトを見る。エージェントに相談する。そして、実際に求人に応募して自分の市場価値を確かめる。

できれば、在職中にやってください。

応募してみて「思ったより評価されない」と分かってからでも、遅くはありません。私は50社以上落ちて、そこで初めて自分の位置を知りました。

その上で「公務員に残る」と判断するなら、それはまったく問題ないと思います。むしろ、外を見た上で残ると決めた人のほうが、そのあと強いはずです。

逆に、やってみたい仕事があって、そのための準備ができているなら、公務員から民間へ行く道もあります。

辞めること自体を目的にしないこと。大事なのは、辞めたあとに何をしたいのかです。

辞めると決める前に、いまの自分の評価を確かめてほしい

この記事で一番伝えたいことは、「辞めたい」だけで辞めないでほしいということでした。

ただ、頭の中で考えているだけでは何も分かりません。私は在職中に応募して50社以上落ちて、そこでようやく足りないのが学歴ではなく準備のほうだったと分かりました。

求人を見る、応募する、落ちる。この順番を先に踏んでおくと、辞めるにしても残るにしても判断が変わります。

在職中なら、条件が合わない求人は断れます。これは辞めたあとにはできないことです。

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